※本記事は「日本語ページ」のみでの公開記事となります。
はじめに
スマートフォンやパソコンを使って手軽に遊べる「オンラインカジノ」や「スポーツベッティング」は、2020年のコロナ禍において、日本国内のみならず世界中で注目を集めています。オンラインカジノ自体は既に20年以上の歴史があるものの、業界全体として大きくアクセスが伸び始めたのは、やはり2020年以降だと言えるでしょう。
さて、この「オンラインカジノ」や「スポーツベッティング」は、昨今の日本国内において大きな問題となっています。先日NHKが放送した「調査報道 新世紀 File4 オンラインカジノ 底知れぬ闇」では、徹頭徹尾、オンラインカジノは違法であり、悪である、といった放送がなされました。
さらに、2024年現在、オンラインカジノをプレイした人が逮捕される事件が実際に発生しています。
参照:(日本経済新聞)オンラインカジノで賭博疑い 24都府県警が客の57人摘発
一方で、オンラインカジノを紹介するサイトの中には、「オンラインカジノの多くは、合法的な国でライセンスを取得している」「日本で逮捕されても不起訴になった事例があるため、現時点では安心・安全な娯楽である」といった記述を目にすることもあります。
実際、オンライン上で運営されているほとんどのオンラインカジノは「ライセンス」を取得しており、厳しい審査を受け、プレイヤーへの出金ができるかの財務的なチェックも受けた上で、運営されています。
日本国内で、このようなオンラインカジノで遊ぶことは、果たして法律違反なのでしょうか。この記事では、その点について解説していきます。
結論から言うと、2024年現在、日本国内からオンラインカジノやスポーツベッティングサイトへアクセスしてプレイすることは、法的に極めて危険であり、お勧めできません。
当サイトでは、日本語をはじめ英語、フランス語、台湾華語で情報を発信していますが、日本国内にお住まいの方には、オンラインカジノでのプレイをお控えいただくようお願いいたします。
※日本国外でプレイする場合は、各国の法令を遵守することをお勧めします。
果たして、何が起きているのか
オンラインカジノを取り巻く日本の状況を分析するには、歴史を知ることが一番良いと考えます。
まず、そもそもオンラインカジノが大きく注目された(多くの人にプレイされ始めた)のは2020年のコロナ禍でした。
人々は不要不急の外出を避けるようになり、自宅で過ごす時間が増えていく中で、一部の人たちが暇を潰すために、オンラインカジノをプレイするようになりました。また、それに呼応するように、オンラインカジノ会社もインターネット上に多くの広告を出し、認知を広げる努力をしました。
さて、そのころ日本では、オンラインカジノは「法的」に、どのような扱いだったでしょうか。
私の記憶では、まだ政府や警察も「オンラインカジノは違法である」と、明確な広報は行っていなかったはずです。ですが、これでは客観的ではないため、ネット上でソースを検索してみました。
するとこのような動画を発見いたしました。
本動画は「星のホームズ&G-KONGチャンネル」というチャンネル様で、北九州にて活動をされていらっしゃいます。今回、日本のオンラインカジノ変遷を辿るのに、とても貴重な情報であると思い、お使いさせて頂きました。
まず本動画では、警察の生活安全課へ「オンラインカジノは違法か」という問い合わせを行います。
そこでの回答は「ケースバイケース」であるとのこと。つまり、運営が海外であれば合法だが、日本であれば違法。プレイヤーについても、海外であれば違法であるが、日本であれば違法である。ただし、ネット上での行いは「ケースバイケース」である。
つまり、本動画が投稿されている2024年から3年前時点では、明確に違法、とは判断されていない状態であることが確認できます。
また、弁護士である「中野秀俊先生」によって、2年前に投稿された以下の動画によると、「法律的にはグレーである」とされております。
つまり、コロナ禍からしばらくの間、日本の警察や政府は明確に「オンラインカジノは違法である」との見解を出しておらず、「グレーゾーンである」との見解は広く浸透しておりました。
オンラインカジノは「誰」が運営しているのか
ところで、オンラインカジノについての情報を目にするとき、必ずセットでついてくる文言があります。それが「カジノは合法国でライセンスを取得しており、安全なサイトです」といった内容です。この文言の意味と合わせて、果たしてオンラインカジノが誰によって運営されているかを、ご説明したいとおもいます。
まず、オンラインカジノ、およびスポーツベットの会社の多くは「欧米(ヨーロッパおよびアメリカ)」に設立されており、ヨーロッパ人の株主、社長、役員によって運営されております。そしてカジノ運営会社は、自社のカジノを公表するために、「マルタ共和国」や「キュラソー」といった国が発行する「ライセンス」を取得します。このライセンスを取得するためには、審査が必要であり、また申請費用も発生します(この審査と費用については、ライセンスごとに異なります)
つまり、会社の運営は基本的に、欧米の方によって運営されており、欧米の方によってライセンスが与えられ、欧米の方が作り上げたスキームによって、全てが担保されております。
では、この会社が実務として、日本語でのサイト運営をするときに、欧米の方だけで、日本語のカジノサイト運営ができるのでしょうか?
答えは「No」です。つまり、すでに多くの日本人が、オンラインカジノ業界で働いています。とくに2020年以降、その数は多くなっており、すでにマルタ共和国では、カジノ業界で働く日本人が150人ほどいると言われております。
つまり、ビジネスとしての根幹(資本、会社運営)は欧米人が運営しており、実務としては日本人が運営しているケースがほとんど、となります。
現在の「賭博罪」は、カジノ会社を取り締まる法律である
ここまでの話を整理すると、オンラインカジノでプレイすることは、あくまで「グレーゾーン」である、という見識が多く広まっております。事実、平成25年の国会答弁でも、オンラインカジノ利用についての違法性が明言されずに終わっておりました。
平成25年11月1日国会答弁要約
質問(まとめ)
海外のカジノや宝くじにインターネット経由で参加する行為が刑法上の賭博罪・富くじ罪に該当するか、また国外にサーバーを置いて日本人に賭博サービスを提供する業者が国内犯として処罰されうるかについて問うとともに、国民への広報の必要性を質している。
答弁(まとめ)
個々の事案は証拠に基づき判断されるべきであり、政府として具体的な判断は控える。ただし一般論として、賭博や富くじの一部行為が国内で行われた場合は、賭博罪や富くじ罪が成立しうる。また、広報の必要性については社会情勢を踏まえ慎重に検討する。
参考:衆議院議員階猛君提出賭博罪及び富くじ罪に関する質問に対する答弁書
また、現在の賭博罪の成り立ちについても、もともとは「賭博を開帳する者(とくに反社会勢力)」を裁くために成立した経緯があり、原則「賭博場を開いた者」を裁き、セットとして「賭博を行った者」を裁く※、というのが通例となっているそうです。
※これを「両罰規定」といいます。
つまり、現行の賭博罪では、オンラインカジノを提供している会社(賭博開帳者)が外国企業のため裁くことできない。なので、賭博を行った者も裁くことができない(裁くことが難しい)、と解釈されておりました。
まさに「オンラインカジノはグレーである」と言わていた所以が、ここにあります。
風向きが変わったのは2024年
日本における「オンラインカジノはグレーである」という風向きが、明確に変わったのは今年(2024年)。2024年7月16日、警視庁保安課および消費者庁は突然、このような広報を行いました。
参考:(警視庁HP)オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です!
参考:(消費者庁HP)日本国内ではオンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪です!
この広報は非常にセンセーショナルでした。なぜなら、オンラインカジノやスポーツベッティングに関する法律を新たに整理せず、現行の「賭博罪」の解釈を変えて、「グレーゾーン」を「黒(犯罪)」と変えてしまったのです。
これはオンラインカジノやスポーツベットをプレイするプレイヤーをだけでなく、カジノ会社で働く日本人スタッフも脅かす、非常に大きな事件でした。
そして、この広報以降、「オンラインカジノは犯罪です」というスローガンとともに、突如オンラインカジノへのネガティブキャンペーンが始まりました。
結論:何が起きたのか
今回、日本で起きたことを整理すると、以下の通りです。
- 2024年7月15日以前:オンラインカジノおよびスポーツベッティングでのプレイは「グレーゾーン」だとの見識が広まっていた
- 2024年7月16日以降:オンラインカジノおよびスポーツベッティングでのプレイは「犯罪」であると広報された(法解釈が変更された)→オンラインカジノのプレイヤーが検挙される事案が発生
いずれにせよ、現在の状況では、日本居住の方がオンラインカジノやスポーツベッティングに興じることは、極めて危険であり、法に抵触する恐れがあります。
おまけ:オンラインカジノ産業の動向について
今回、「日本でオンラインカジノで遊ぶのは法律違反?」であるか、という観点で記事をまとめさせていただきました。その上で、再三申し上げた通り、「プレイをすることは、日本居住者にはお勧めできない」ということをお伝えしております。
ですが、あくまでビジネスの観点で見た場合、実はオンラインカジノ産業は今まさに成長をしている、とても注目すべき産業です。
当サイトでは、今後とも、この業界についての情報をヨーロッパから集め、発信を続けて参ります。
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